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2008年03月02日

TASPO(タスポ)との戦い

「先生、僕もtaspo(タスポ)申し込んじゃいましたよ・・・・」
「そうか。届いたら貸してくれ」

taspo(タスポ)とは、煙草の自動販売機での購入に際して必要な「成人識別ICカード」のことで、昨日から全国に先駆けて鹿児島・宮崎で導入された。日本たばこ協会によると、2月末現在の推定喫煙者とタスポ所持者は宮崎県が23万人のうち3万2000人、鹿児島県は35万人のうち4万4000人が持っていて、共に普及率は10%台と低く、昨日は自動販売機の前で戸惑う人々が多かったという。

「うーん、貸すのは構いませんけれど先日のブログに書いていたようなことは本当なんでしょうか?」
「たばこ協会に勤めているわけではないから、私にも判らんよ」
「でも個人情報が漏れる心配があるって言われると、本当に心配です。それで先生は申し込まなかったんでしょう」
「申込用紙は自動販売機の前においてあったから何通も持って帰ったんだけどね、あまりにも非常識な書き方がしてあったので止めたよ」
「非常識ですか?」
「本人確認資料は何を提出した?」
「免許証のコピーです」
「本籍地は塗りつぶしたか?」
「えっ、塗りつぶしてよかったんですか?」
「申し込みに必要のない本籍等の機微情報(センシティブ情報)は消していいことになっている。もし消さなかった場合は、電子的保存に同意したものとして提出された状態でそのまま保存する、と書かれている」
「そんなこと書いてあったんですか?」
「表題ではなく、説明文として小さく書かれているから見落とすかもしれないな」
「そのまんま出しちゃいましたよ」
「ということは、同意したものとしてそのままどこかのサーバーに君の情報が保存されている。若い女の子だったりしたら大変だな。顔写真はおろか、本籍・現住所まで誰かに握られたことになる。おまけに住所変更が済んでいない本人確認書の場合、別途電話(固定・携帯)、電気、都市ガス、NHKの公共料金領収書が必要だ。個人情報に電話番号などかくっつく仕組みになっていて、そこには関係のない情報は塗りつぶしていいとは書いてない。本人確認書類に住民票を使う場合は、本人の所に丸印をしろと描かれてあるが、本人以外の氏名を消していいとは書いていない」
「・・・・・・」
「それに、パスポートで使用するサイズの写真を用意し、裏に名前を書かせ、申込用紙の枠内にセロハンテープで四辺とも貼り付けろって書いてあるね。何で本人確認に写真が必要なんだ。機械が写真で本人を確認するわけじゃないのに、パスポートサイズの写真を要求する仕組みって何なんだ。そう思ったら、気味が悪くなってね。申し込むのを止めた」
「確かに気味が悪いですけど、未成年の喫煙防止のためにはやはり必要なことなんでしょう?」
「実験的に種子島で行った実績によれば、喫煙非行は一時的には減ったけれど、結局以前より増えていたそうだよ。カードを導入しても効果のほどはどうなのかな。総額900億円かかる事業だが、販売店には7万円ほどの負担を強いて消費者には面倒な手間をかけさせる。体のいい新手の公共事業のようなものだろう。今回の措置で間違いなく利益を手にするソフト会社と自動販売機製作会社から国会議員へ献金が行ってるかもね」
「・・・・うーん。そう聞くと胡散臭い話ですね」

「国家の中には賢い人間がいてね、国民をどのようにしてコントロールするかを日夜考え続けているのだろう。今の時代は喫煙者は【悪】という位置づけになっている。タバコを吸う人間などどうでもいい。タバコを吸うためなら何も考えずにこのシステムに乗ってくるはずだ。こいつらを使ってとにかく【実績】を作ろうとしている連中がいるんだろうな。【実績】さえ出来てしまえば、次は酒の自動販売機だ。これにも同じシステムを導入して個人を管理する。それがある程度行き渡ったら、今度は【対面販売】でもこのカードを通さなければ購入できないようにする。その端末をネットで繋いでおけば、誰が今どこにいるのかが瞬時にわかる。車の【ナンバー自動読取装置】つまり【Nシステム】の人間版が作れるということだ。その気になれば、どこのコンビニでたばこを買ったか酒を買ったかが瞬時に判るシステムが作れる。瞬間に判るというのは民間のスーパーやコンビにではPOSシステムとして確立したごく普通の技術だ。国家がその気になれば簡単に出来る」
「・・・・そこまでやりますかねぇ・・・・?」
「さぁ、私にも良くはわからんよ。しかし、写真を貼り付けさせたのは単なる譲渡・貸与を防ぐためだけではないような気がする。もっと遠大な計画のための第一歩ではないのかな」
「・・・・うーん」

「現代日本において権力者が一番頭を痛めているのが、ホームレスではないかと思う。彼らは定住していない。定住していないので国家のコントロールや監視が行き届かない。そこに反権力の活動が発生したら、押さえ込むのに一苦労する。ヨーロッパでも定住しないジプシーは迫害され続けた。ジプシーの哀愁は迫害された歴史によるものだ。定住していない人々は権力者にとっては厄介なものなのだ」
「・・・・・」
「携帯電話にGPS機能を備えさせることが携帯各社に義務付けられたことは知っているか。東京都がネットカフェ難民に定住を促すために60万円まで無担保で金を貸し付けるサラ金みたいなシステムを稼動させたことを知っているか。インターネット規制の法案が作成されつつあることを知っているか。携帯電話に有害サイトを見せないためのフィルタリングシステムが導入されることを知っているか。おそらく多くの人々が知らない。そして知らないうちにからめ取られて少しずつ【自由】を無くす。【自由】とは失ってはじめて気付くものだ。そのときでは手遅れなのさ。だから息を凝らして辺りの風景を探り、変化に備えなくてはならない」

「・・・・どうしよう。taspo(タスポ)申し込んじゃいましたよ」
「無くすなよ。更新料に千円かかるだけじゃない。君の情報が誰か知らない人の手に渡る。おまけに個人情報の開示・訂正・削除に関してはシステムの運用・管理に必要と判断する期間には応じられないと書かれている」
「どこにそんなこと書かれていましたか?」
「taspo(タスポ)会員規約にそう書かれているよ。保険業界には契約規約の文字が小さいなどと言いながら、taspo(タスポ)規約も小さいぜ。老眼鏡をかけても読めないくらい小さい字でびっしりと書かれている。おそらく多くの人々が読まないだろうし、逆に読まれたら困るとしか思えないくらい判りにくい」
「先生は読んだんですか?」
「読んだよ。読んでtaspo(タスポ)を使うのを拒否した」
「まるで【確信犯】ですね」
「【自由】を得るためには覚悟がいる。これは戦いさ。気をつけろよ。襲い掛かる敵は相手の一番柔らかい所から噛み付いてくる。今は喫煙者は【悪者】扱いだ。世論の後押しが得られるこの機会を相手は逃しはしない。ここに噛み付いておけば大丈夫だとたかをくくっているんだろう。しかしひとりぐらい楯突くやつがいてもいいだろう。私は【愛煙家】だからね。最後まで戦うよ」
「・・・・」

「昔ね、今から63年以上前のことだ。日本に【治安維持法】という法律があって徹底的な思想弾圧が加えられた。特に共産主義者に対する弾圧は有名だが、同時に自由主義者、平和主義者たちも同じように弾圧されたんだ。今は時代が違うからそんなに露骨なことはしないけど、ソフトに見せている分仕掛けは巧妙になっている。せめて、人に迷惑をかけず、自由にたばこを買えて吸えるくらいの【自由】のためには小さく拳を突き上げて【おかしいんじゃないか】と異議をとなえたいねぇ。それが【おじさんの役目】のような気がしているよ」
「うーん、どうしよう、申し込んじゃった・・・・」
「まぁ、いいじゃないか。届いたら、貸せよ」
「嫌です!絶対に貸しません!先生にだけは絶対貸しません!」
「おい、おじさんに意地悪するなよぅ」


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posted by tojiki at 13:04 | Comment(0) | TrackBack(2) | 覚悟 この記事をはてなブックマークに登録
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