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2009年01月08日

車窓の向こう側

朝、日が昇る前にマンションを後にして、薄闇の中を博多駅へ向かう。まばらな客に混じり、新聞とパンを買い込み、新幹線に乗り込む。向かう先は「大阪」。

また、今年も旅が始まる。

子供の頃、線路の近くに住んでいて、蒸気機関車を毎日のように見て育った。「線路は続くよどこまでも」などという歌があったが、今の子供たちはそんな歌を歌っているのだろうか。当時大学生だった叔父が東京へ向かうのに「26時間」かかる、などという話を聞いて、日本の広さを想像した。
なにせ、ど田舎・九州宮崎です。当時テレビといえば、NHKが総合と教育の2チャンネル、それにMRTという民放が1局しかない「僻地」だったので、都会を想像するにしても情報が少なすぎる。今のようにインターネットなどがあるわけではないので、高校を卒業するまでひたすら「書物」からしか学ぶものがない。偏った「性格」はその頃の経験に由来するのではないかと思う。

年が明けて、数日。
地方企業の「惨状」は、新聞やテレビが伝えるものより、実態としてはひどい。移動中、何本もかかってくる電話の中身は、話し相手の口調とは裏腹に深刻なものが多い。何とか年は越したけれど、足元に広がる火の手に恐れおののいているようにも見える。
実際、3月の大手や金融機関の決算が出揃うまで、何が起きても不思議ではない。そして、その向こうにある4月以降の風景は、想像すら出来ない。

しかし、と新幹線の座席で考える。
「しかし、前に進む以外道はないではないか・・・」

道は、一本道ではない。
立ち止まって眺めれば、一本道に過ぎないが、勇気を振り絞って辺りを見回せば、「道」は360度開けている。「前へ」というのは、行動のことを言うのであって、「道筋」のことではない。つまり、「どの道を選ぶか」が問題なのであって、そこに立ちすくみ泣き言を並べることではない。
確かに「先代」は、「一本道」を教えたのだろう。間違いなく、数年前までは、その「道」がもっとも正しいように見えていた。しかし、その道が「土砂崩れ」で通りにくくなっているのです。
その風景を見て、恐れおののき、みんなは電話をしてきたのではないか・・・・。
電話なので、話してる相手の歩いている風景は見えない。しかし、話しながら胸の中でこう叫んでいる。
「右手に【斜面】はないか?力を振り絞ってその【斜面】を登ってみろ!左手は【谷】になっていないか?勇気を持ってその【谷】を降りてみねぇか!木が邪魔になるのなら、雑林鎌(ぞうりんがま)でもチェーンソーでも持ってきて切り倒せ!・・・・」
失礼を承知で言えば、彼らは「暖房の効いた車の中から」電話をしているのです。目の前にある「道」の風景に怯え、切れかけている「燃料」に怯え、私に電話をしている・・・・。
「ごちゃごちゃ言わずに、車を降りろ!そしてあたりの風景を見舞廻せ!」

土建屋上がりのコンサルタントは、正月早々、こんなことを考えながら、クライアントと話している。

大阪では、午前中、いつも講演でお世話になっているシステムブレーン」さまへご挨拶に伺った。年明けの忙しい中で多くのスタッフの方々と話をすることが出来ました。岡田社長さまからは、示唆に富んだ刺激的なことをお聞きした。思わず、メモを取ることを忘れるくらい、考えさせられる話でした。
午後からは、「尋常ならざる危機意識」を持った企業様を訪問し、夕方から、50名を相手に「全員研修」をさせてもらう。近年まれに見る「レスポンスの良い企業」で、こちらの方が身が引き締まる。
この「全員研修」が、今年の私の「講演はじめ」でした。

新大阪から博多行きの「最終」の新幹線に乗り込み、博多駅に着いたのは23時57分、真夜中でした。真夜中に時速300キロを超える新幹線の車窓から見える風景は、「流れるように早く」同時に「静か」でした。その日の「覚え」を手帳に書き込みながら、今という時代を真剣に考える。

人影まばらな博多駅は、2011年の「新駅建設」に向けてあちこちから「槌音(つちおと)」が聞こえる。通行する人々からは見えない囲いの中からコンクリートを取り壊すブレーカーの音が聞こえる。この真夜中にも「自分の身体を使い」「ものを作る人々」がいる。かつての私の【仲間たち】です。
駅を出ると、ホームレスと思しき人が毛布に包まり道路で眠っている。
その横をすり抜け、静かな町並みをマンションに向けて歩く。
冷えた空気に息が白い。

今年がどんな年になるか、誰にも分からない。どう考えても理不尽な世の中なのだ。
「しかし、前に進む以外、道はないではないか・・・」

深夜、博多駅でそんなことを考えた。

明日は、名古屋へ向かう。
また、旅が始まった。



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posted by tojiki at 13:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 覚悟 この記事をはてなブックマークに登録
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