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2008年12月14日

想像力に関する会話

「ご無沙汰いたしております」
「やあ、元気しているかい。相変わらず東奔西走で何よりだ。ブログ毎日読ませてもらっているよ。先日のニューヨークからのメールは面白かったね。九州みたいな田舎にいると、どきりとさせられる内容だった。ボーダレス時代ってことを改めて感じさせられたよ。時代が変るスケールが違ってきているんだな。一度もアメリカへ行ったことがないくせに良くあんなことが書けるな」

「すみません・・・・」
「謝ることはない。感心しているんだ。普段忙しいはずなのに、良くあれだけいろんな話に首を突っ込めるもんだなって感心してるのさ。秘訣は何かな?」
「・・・うーん井上靖でしょうか・・・・」
「井上靖・・・・?何だそりゃぁ?」
「【敦煌(とんこう)】っていう小説がありますね」
「ああ、有名な小説じゃないか。確か映画化もされたんじゃなかったかな」
「はい。西域文学の傑作と言われていますが、井上靖はあの小説を一度も西域へ行かずに書いているんです」
「んっ?NHKか何かで彼が西域へ行っている番組を観たことがあるぞ」
「それはずっと後年になってからです。日中国交回復は1972年のことです。【敦煌】が書かれたのは1960年です。その頃日本人は誰も中国へは行けなかったんです。井上靖は一度も現地を見ないまま、あの小説を書いています。そのことを知った時から、人間の【想像力】というものがでれほど凄いものなのかを考えさせられました。多分そのときの驚きがベースにあって、無意識のうちに【想像力】が働いているんじゃないでしょうか。もっとも、親しい友人たちには【妄想癖】と笑われていますが・・・・」
「・・・・・・」
「それと三好徹の小説です」
「三好徹・・・・?」
「はい。読売新聞の記者出身の三好徹は、1966年にインドネシアの軍事クーデターを題材にして【風塵地帯】という国際スパイ小説を書いているのですが、彼もまた一度もインドネシアへ行かずにその小説を書いています。それがどれくらい優れたものであったかは、インドネシアへ派遣される新聞記者は必ずその小説を読んでから行け、といわれるくらい見事なできばえだと言われてます。一度もその土地を訪れたことのない作家の小説がもっともその国を知る上で確かだというのです。これもまた【想像力】の賜物としか言いようがないと思っています」
「・・・・・」
「個人的な思い込みですが、【歴史】を学ぶ時もそれはいつも意識しています。現在進行形ではない過去を理解するには、【想像力】以外に耕す道具がありません。【現在】が過去の延長線上にあり【未来】が【現在】の延長線上にあるとすれば、ありったけの【想像力】を駆使して理解しなければ前に進めません。どんなに情報が溢れ、映像や記事が手元に届いても、分析や判断をするのは自分です。外国のことも、まだ見ぬ世界も同じように【想像力】の翼を広げないと、分からないのではないかと思います」

「おかしな男だよな。先日は太宰治や葛西善三の話をしたかと思えば、今日は井上靖と三好徹か・・・。【敦煌】はいつ読んだ?」
「高校1年の秋でした」
「その後、はまったかね?」
「はい。かなり・・・。【楼蘭(ろうらん)】【天平の甍(いらか)】【蒼き狼】【氷壁】【風林火山】・・・・。一時期読みまくっていた頃がありますね」
「まったく、進むべき道を間違えているなぁ・・・・」

「で、進むべき道を間違えたコンサルタントは、【今】をどのように【想像】しているのかな?」
「・・・・また、難しいことをお聞きになる・・・・」
「高い金を払っているんだ。ちゃんと答えろよ」
「・・・・。どういうわけか誰も言いませんが、破綻しかけた金融機関や破綻しかけた企業に国家が金をつぎ込む世界を【資本主義・自由主義】とはいいません。今回の日本政府の金融機能強化法やヨーロッパの金融機関への資本注入や米国のビッグ3救済案に関してそのことを正確に指摘するマスコミや専門家がいないことが不思議です」
「・・・・うーん、確かに・・・・」
「ソビエト連邦が崩壊して18年経ち、中国は変則的な資本主義国家になり、従来自由主義と言われた国家が企業を救済する。昔だったら、SF小説並みの現象が起きている。つまり、まったく【想像】もつかなかったことが起こっている。それが【今】への理解です」
「で、これからどうなる?」
「分かりません。世界の多極化やおそらく戦争への緊張が高まるということは予想できますが、そのほかは今は分かりません。そのために、情報を掴み、分析をかけ【想像】しているつもりなんですが・・・」

「2009年は混乱するかね?」
「多分・・・・」
「何となくネタは持っていそうだな」
「・・・日本の米軍基地での国際暗号解読部隊が、9名から40名に増強されたようです」
「暗号解読・・・・?」
「はい・・・・」
「一体、どこからそんな情報を引っ張ってくるのかな。まぁいい、年明けに来るとき、そのあたりの話を聞かせてもらえるかね」
「分かりました」
「今年も世話になった。来年もよろしく頼む。気をつけて帰ってくれ」
「はい。私もお世話になりました。少し早いですが、どうぞ良いお年を。奥様にもよろしくお伝えください」
「君も、良い年を迎えてくれ」




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posted by tojiki at 20:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ある経営者との会話 この記事をはてなブックマークに登録
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